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「今だから話せる佐藤のコラム 創刊号」(初めての海外生活1)

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┃◆┃(公社)いわき産学官ネットワーク協会News  2017.05.21   
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┃  「上海レポート」でお馴染みの佐藤忠幸氏より
┃ 『今だから話せる佐藤のコラム』が届きましたのでお知らせいたします。

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 中国での会社設立・販路拡大等を支援している、
(公社)いわき産学官ネットワーク協会アドバイザーの佐藤忠幸氏から
「今だから話せる佐藤のコラム 創刊号」(初めての海外生活1)をお届けいたします。

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◇「今だから話せる佐藤のコラム 創刊号」(初めての海外生活1)◇

             今だから話せる"・・・・"1
               初めての海外生活①
                                    佐藤忠幸
 ご無沙汰しております。
 17年続けた「「上海レポート」は本年1月で終わらせて頂きました。
ちょいと一休みして、勝手ながら今月から「今だから話せる"・・・・"」シリーズを書きだ
しましたので送らせていただきます。
ご迷惑とは思いますがご愛読・ご意見下されば幸いです。
 『今だから話せる?・・・・"』と変なタイトルですみません。
 「上海レポート」は私の17年間におよぶ中国生活で感じたことや体験談を中心に報告
しましたが、今度は、今までの海外での仕事における体験談を中心に記そうという訳です。
私はひょんなことから1990年から昨年4月まで約26年間も、マレーシアと中国という
外国で仕事をし、生活をしてきました。
 海外生活と言っても、それは業務での赴任です。
 業務となるとなかなか言えない経験が数多くありますが、各社の顧問から離れた
「今だから話せる」話題の中でこれはと思われる
「私の・・・」をこれから随時お届けしようと思います。
 なお、メールご不要な方はお知らせください。

【佐藤のマレーシアとの関わり】
 まずはマレーシアとの関わりを簡単に記します。

 私が、マレーシアに関する仕事に関わり始めたのは1986年頃からです。
当時は、VTR関連電子部品製造のF社に勤務していましたが、中国へ進出する気は
全くありませんでした。
政情も、治安も、そして送り出す日本人の生活も心配でした。
 それよりも、当時の中国は市場としてまったく期待ができず日本へ製品を持ち帰ること、
即ち労務費の廉価だけしか期待出来なかったからです。

 日本の電子業界のどこもが歩んだ道は、まず合理化・自動化によるコストダウン。
そして1960年代から始まった首都圏から地方への工場移転。
1970年代からはアジアNIES(新興経済群:台湾、韓国、香港、シンガポール)への進
出、そして1980年代からのASEAN諸国への進出によるコストダウンでした。
中国進出は、その次のステップです。
 今では、コストダウンのためというよりも、労働力を求め、市場を求め、更には世界の
工場としての位置付けを求めて、電子業界だけでなく、あらゆる産業が中国に進出して
おり、その発展ぶりは凄まじいものがあります。

 私は、1990年から1999年までマレーシア現地法人の社長に就きました。
会社の設立は、1988年。その2年前から海外に工場を作るべきと考えてNIES諸国の
調査に加えてマレーシアの調査もしました。
 それぞれ協力企業もあり、インフラやコストと総合的には甲乙つけがたいものがあり悩み
ましたが、それ以上に悩んだのが社長はじめ社内の
「VTR業界の海外進出は時期尚早だ!」という反対論に対する説得です。
当時の民生用VTRは、日本の独壇場であり、製品も大半が日本で作られていました。
 私どもがやっていた電子部品は極めて特殊な精密加工であり、日本以外での生産は無
理だし、その必要性も無いと言われていたからです。
私は「特殊であるが故に自動化が難しく人手に頼らざるを得ない。しかし、それをやってく
れる若者はどんどん減り、このまま放っていたら高騰する労務費と人手不足で、日本での
生産は出来なくなる。わが社のような中小企業がそれから海外進出を考えては手遅れ
だ、今のうちに海外進出し、訓練を開始しよう」と説得しました。
 主張が聞き入れられ、同時にNIES諸国よりも原価安であり親日国のマレーシアに決定
しました。
 そのF社としては初めての外国子会社経営です。
 それが成功し、儲けたこともありますが、失敗も随分しました。

 まずはその『失敗史』を中心に報告いたします。

【送り込んだ責任者が曖昧な立場】
 技術・製造・品質管理各系統の指導員として日本人5人を送り込みスタートしましたが、
現地法人の社長は親会社の社長が兼務し、副社長には私が就任し、2人とも日本勤務で
した。
 本来海外進出提案者の私が現地法人社長として赴任すべきでしたが、私は「外国語が
嫌い」なものですからお断りし、代わりにS氏を「工場長格」という立場で送りました。
その他に親会社から取締役1名(社長と副社長と合わせて3人、何れも現地には非常
勤)、現地から2名(内1名は非常勤)の取締役を任命しました。
 当時のマレーシアの法律では、マレーシアに会社を作る場合は、マレーシア人取締役を
2名以上とすることが義務づけられていたからです。
しかし、「工場長格」で送り込んだS技術部長は「その器ではない」として取締役にしま
せんでした。
組織図の上ではマレーシア人の管理・営業担当の取締役J氏が最上位者となりました。
しかし、日本本社から見れば送り込んだ工場長格のS氏を現場の最高責任者だと認識
していましたが、現地ではS氏はあくまでも工場長「格」であり、正式には「工場長」でもな
いし、取締役でもありません。
 曖昧な権限と責任で、日本の我々と現地の日本人やマレーシア人幹部との板挟みで非
常にご苦労されました。
 今考えると、「立場が器を作る」という言葉を思い出します。
 S氏を取締役工場長か副社長で送り込んだらどうなったでしょうか?
 多分その職責を果たしていたと思います。

【ストレスに耐えられない】
 S氏は下から決裁を求めてきても日本に遠慮し、しかも権限が曖昧でしたから大部分の
決裁事項を日本へ問合せや承認を求めてきました。
 私たちへの大部分の問合せや承認願いに対しては、現場責任者だから自分で決めろとい
うことで「よきに計らえ」との回答をしました。
ただし、その問い合わせは親会社の社長、副社長そして常務取締役の私への3名連名
で来ました。3人それぞれが私と同じく「よきに計らえ」の回答ですが、それでは誠意が無
いと思われるかなと思い、たまには
「もっと安くならないの?」
「本当にそれは必要なの?」
「〇〇に相談したの?」等々問いただしました。
 まずいことに3人それぞれが別に問いただしたため、結局は毎回のように誰かからの問
合せがあり、S氏はそれへの対応に追われ決定が遅れました。
 現地の日本人やロールスタッフからの、S氏の決定が遅いこと、何事も自分で決められ
ないという批判が頻繁に起きるようになり、S氏のストレスは日を追うごとに強まりました。

 一方で、指導員5人の日本人の規律と風紀・治安に関して非常に厳しい態度をとってい
ました。皆の安全と健康、現地社員への模範的行動、そして経費節約を考えてのことだっ
たようです。
 ①住まいは一軒家を借りての共同生活
 ②朝夕の通勤は日本人全員が同じマイクロバスで往復
 ③外食は日本人全員で行き、昼食、夕食それぞれが決められた店で
 ④カラオケやバーへの出入り禁止

 これでストレスは、いつどうやって発散するのでしょうか?
この4項目は海外駐在員のストレスがたまる典型的なパターンだということは、今では
誰でもお分かりだと思います。
 しかし、30年近い昔では当たり前のように多くの会社がやっていたことでもあります。

 結局S氏はストレスに耐えられず、ある日クモ膜下出血で緊急入院し後に日本へ転院
せざるを得なくなり、これを機に帰任と決定しました。
 S氏には、曖昧な立場で、しかも教育不十分な状態で赴任させたことを今でも申し訳なく
思っています。

 問題は後任を誰にするかですが、役員会での「言い出しっぺの佐藤が行くべきだ」
の意見に反対もできず私が行くこととなったのが1990年でした。
 
 この続きは次号で。

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