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上海レポート3月号

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┃◆┃(公社)いわき産学官ネットワーク協会News  2015.03.29       
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┃  「中国への企業進出セミナー」でお馴染みの
┃  佐藤忠幸氏から『上海レポート』が届きましたのでお知らせいたします。

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 現在、中国は上海に事務所を構え、
中国での会社設立・販路拡大等を支援している、
(公社)いわき産学官ネットワーク協会アドバイザーの佐藤忠幸氏から
「上海レポート」3月号をお届けいたします。

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◇上海レポート3月号(帰任時期)◇

一昨日、上海市内を歩いたら桜が一部咲いていました。
もう桜の時季かー、暖かいわけだと改めて春を感じております。
外出のたびに窓から道行く人を窓から眺めながら、コートをどうしようかチョッキは
どうしようかと悩む毎日です。
たぶん、来週は魯迅公園の染井吉野も満開でしょう。

3月になると、私的に思い出す事件の日がいくつか有ります。
1日は、22年前に頚椎骨折(事故日は2/3)でマレーシア・クアラルンプールから空輸
され横浜の病院へ到着した日です。
11日は、4年前の東日本大震災です。
22日は、53年前に社会人の第一歩を踏んだ日、すなわちアルプス電気入社日です。
 入社は4/1と思っていたのが10日も早まり慌てたことを思い出します。
23日は、2年前に心臓病で上海から横浜へチャーター便で空輸された日であり、28日
はその手術に成功した日です。
そして家内の誕生日も3月です。
何れも決して忘れてはいけない重要な日であり、大切にしています。

先週の土曜日に郊外へ繋がっている高速道路を車で走ったら大渋滞でした。
土曜日なのにどうして?
4月4日から始まる「清明節」3連休の前兆だそうです。
清明節というのは日本のお盆のように先祖のお墓参りをする日です。
大都市上海ではお墓を確保することが困難ですから郊外にお墓を買い、清明節の2週
間前から出かけるのです。
大都市の生活は大変ですよ。

ところで、日本企業の3月は転勤・配転の時期ですね。
中国も日系企業ならびに駐在員事務所では日本同様に3月が帰任・新任時期です。
私のお客様でも、社長(総経理)が3人も交代されます。
管理職レベルであれば数えきれない程の方が交代されており、その挨拶状が毎日の様
に届きます。
そんな中から感じた問題点を報告します。

<不本意な帰任>
日系企業への出向者は、赴任初年度は親会社向けの仕事が多く、中国や中国人に慣れ
るまでには至らない。
一般的に中国に限らず異国に慣れ、異国人との仕事や生活に慣れるには3年かかると
言われている。仕事の上でも、中国に赴任すると日本時代よりも遙かに広い範囲で高
度な責任を負っている。
それらに慣れて本来の実力を発揮するのには普通は3年、早い人でも2年は必要だと云
われている。したがって、赴任した成果が出るのはその後。
しかし、一般の出向赴任者の任期は2~3年、社長としての赴任でも3年~5年が多い。
赴任前は早く成果を出して早く帰りたいと思っていたが、実際に赴任し現地で仕事を
すると任期の短さに唖然とする方が多い。大多数の方は成果が出る前の帰任であり、
帰任者から考えると達成感を感じない極めて不本意なストレスの残る帰任となってい
る。

<浦島太郎にさせたくない>
任期が短いのは、昔の長期雇用を前提とした労務管理の名残である。
3年以上職場から離れていると浦島太郎になってしまい、原職復帰が難しくなること
を恐れた親会社の親切心あるいは配慮である。
しかし、多くの出向者から言えば逆。(成果よりも早期帰任を願う者にとっては別だ
が)
中国赴任に慣れるために必死だった(ここまでに大きなストレスを抱える)のに
「やっと慣れたら帰国かよ」とますます大きなストレスを抱える。
そして帰国したら原職復帰で元の軽いポスト。子会社とはいえ経営者だった者が管理
者へ、あるいは上級管理者から監督者へと軽い職位に戻ってしまい、基からやり直
し。この落差がまた大きなストレスを生んでいる。
残念なことだが、中国帰りの者に「うつ」患者や早期退職者の多いのはよく分かる。

<会社より人事ローテーションが大事>
赴任任期が欧米系企業に比べて短いのは、派遣する側すなわち親会社の人事政策。子
会社の都合では無く親会社の論理で決まっている。
日系企業の親会社からの派遣方法は、全て、原職復帰が約束された「出向」であり、
原職に戻すことを容易にするためには期間が短くなりやすい。
出向期間は親会社および被出向者の都合(人事管理上の)を考えて決まる。
親会社の人事ローテーションの一環としてコロコロ上司を変えられる現地法人社員に
とってはたまったものではない。
勉強のため(?)赴任してくるような者を誰が上司として尊敬するものか!尊敬でき
ない上司の下では、辞めるか不正を働いて一稼ぎするだけである。

欧米系企業のそれの多くは、籍を移動してしまう「転籍」であり、帰任の保証はない
が、現地法人が成功すれば莫大なボーナス。
また、原職復帰の約束が無い代わりに、能力を見込まれれば親会社や関連会社の各事
業所からの勧誘は凄まじいものがあるそうだ。
現地法人にとってどちらが良いかは明白であり、日系企業の最大の弱点となってい
る。

早く、親会社の都合だけでなく現地法人が何を望んでいるのかに配慮して、「行ける
者から」ではなく取締役までを含めた「最適な者」に赴任命令を出せるように中国子
会社の位置付けを上げて欲しいものだ。それが中国子会社の発展成長そして日中友好
にも繋がるだろう。
中国の方が発展成長の余地が大きいのも確かなことだから。

<赴任者自身のリスク管理>
大企業は出向者に数か月の赴任前研修というものをやってから出す。
中国語そして中国や中国人について学ぶのである。
しかし、中小企業はそれをしない。
ひどい会社だと出張がだらだらと赴任に変わっている。
大企業も含めて共通して学んでいないことは、生活上のリスク管理と職責の認識であ
る。
中国に赴任してから就く、高級幹部の職責の認識と全うの仕方についての問題は次の
機会に譲るとして生活のリスク管理について記す。

先日あるセミナーで出会った上海赴任2年目のF副社長に「貴方は海外旅行傷病保険に
入っていますか?」と聞くと「充分な金額で入っています」とのお答え。
しかし、「病気で入院した時の治療費や日本へ搬送する時の費用はいくらまで補償さ
れていますか?」と聞いたら知らなかった。
会社から説明も受けていなかった。
一昨年および22年前の自分の体験からいけば、1000万円は必要である。
死亡時の金額はどうでもよい。急病時に充分な治療を受けられ重症病時には日本へ搬
送できなければ駄目だ。
中国の医療は自由診療であり、治療費は前払いである。
保険を使えない場合は現金でデポジットを払わなければ入院もさせてくれない。
最悪、死んだ場合その死体をどうやって誰が日本へ運ぶのだろうか。
これにも莫大な費用がかかる。
重病になったり不幸にして亡くなったりした場合、困るのは自分だけでは無い。
お金が無いからといっても、周囲の方は放っておくわけにはいかない。
会社が負担するか周囲の方がカンパするしかないのである。

リスクは傷病だけでは無い。
危険な地域へ行って殺された方の話題を聞くが中国は大丈夫?
比較的安全な国ではあるが反日教育国家であることは確かであり、街中や公共乗り物
での言動には充分注意していただきたい。
また「日本人=金持ち」のイメージが強く残っており街中での誘惑は激しい。
上海市の日本国総領事館で扱う日本人駆け込み事件は毎年1000件を超えており今では
世界一である。
それなのに、領事館へ在留届すら出していない人が多い。
そんなことも教えないで異国に住まわせる会社も会社であるが、会社とはそんなもの
であり自分のことは自分で守るべきであり、そのための情報は自分で集めるべきであ
る。
その自覚が無い者、すなわち自分を自分で守るという責任意識が無い者は派遣すべき
ではない。

今月は硬い話が中心となってしまいすみません。

最後に少々柔らかい事件を。
昨夜、20時頃からアパートの外でワイワイとウルサイ。
軽やかな太鼓の音色に合わせて数人の掛け声が続いている。
23時になっても止まらない、何だろうかと思って外に出たら外だと思ったのは間違い
で、階下のどこかの部屋でやっているらしい。
一階に出たら、片付け始めたらしくエレベータで色々なものを運び出している最中
だった。
大量なカラフルな箱や金色のお飾りである。
服装はまちまちだが、大部分の人が白い布を腰に巻いていた。

不思議に思ったので中国人に聞いたらお葬式だった。
「11時過ぎまでやるとはやり過ぎ、しかし、ずいぶん懐かしい葬式だなー」

そういえば、20年近く前にシンガポールで見たチャイニーズの葬式を思い出した。
公園に派手なテントを建て、楽しそうなお囃しと掛け声で大騒ぎしている集団があ
り、あれは何のお祭りかと聞いたらお葬式だよと笑われた。

中国もシンガポールも、お葬式では「故人を明るく送り出す」という習慣があるよう
です。
どちらも悲しそうな人を見ません。(多分、内々のお通夜は別だろう)
お国によって習慣も考え方も違うのですよ。

異国で暮らす前には勉強が大切です。
しかし、暮らしてみて初めて分かることも沢山あることも事実です。
15年暮らしている私でも、毎日新しい発見があります。
いくら沢山出張しても、暮らしている人には勝てません。
異国は、出張と生活するとは違うのだということを認識して欲しいものです。

だから日本の親会社の口先介入は最低限に抑えるべきなのです。

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 佐藤忠幸/Sato Tadayuki
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